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中国遠征第2話・理唐~探査区域~理唐

中国遠征第2話・理唐~探査区域~理唐05/10/4~8


<メンバー>
 隊長・青木茂 登攀隊長・井口功 登攀サブ・植松 隊員・関秀倫・高木直幸・伊藤陽一郎・橋本誠

<留守本部>
 山梨学院大学・渡部壮一

10月4日(火) 天候 晴れ

 理唐を離れ、いよいよ文明世界ともしばしお別れでしょう?
と言うのも、昨日、李慶さん達が市場で鶏やら野菜を仕入れていたので。
標高4,000mの町、理唐(りたん)何日後にここに帰ってくるのか?
計画では探査期間は6日である。
井口さんが言った「りたーんまっち・・・」「理唐町、井口さん、おもれーじゃん・・・(^^;」
さてさて車は大草原状を走ります。ここまで来ると、チベット民族もテント生活の遊牧民族となります。
途中、車を止めると子供達が近寄ってきます。

とにかく広いです。
遊牧民族の子達です

さらに走り続けると、とある工班で車を止めます。
この工班ですが、ここ川蔵公路、公路は日本で言う一級国道でしょうか?日本で聞いてきた話ですと 、
漢民族として、奥へ奥へ要所要所に町作りをし、少数民族への威嚇的政策だそうです。
だから、等間隔にこのような工班(工事基地)を置き、かつ、連絡官を置き、少数民族が蜂起した場合には、
いつでも人民解放軍が来るぞ!と示唆しているそうです。
事実、工班は白い壁で囲まれており、門はしっかりとカギが掛かっています。
長い時間、車でまたされます。の間もチベット族が物珍しいのでしょう、車に集まってきます。
俺等の運転手のトウさんなんかは運転席で、いきなり刃渡り20センチ程の短刀をチベット族に見せてます。
たぶん、「おまんら、なんかしたらこれでやるぞ!・・・」と言ったかどうか。まぁ、物騒ですねー。
しばらくすると、交渉成立でしょうか?青木隊長がやってきて、今夜はこの工班に泊まって、
明日、この谷を行くと地図を示しながら説明されました。
当初 、我々の計画の谷は、まだまだ先ですが、なるほど、かなりのエスケープルートとなりそうです。
工班の中に車を乗り入れました。会議室みたいな所が今夜の宿です。
本日より寝袋等使用となり、時間も早いですが、早速、井口さんと乾杯です。

今夜の宿泊283工班
便所はこんな感じー

なるほど、工班の中に入ると女性の事務員もいればコピー機などあります。
とは言え、ここはまさに漢民族の超領域であり、我々が日本人という事は見え見えですね。
李慶さんと村長さんの話し合いは、明日7時にここに来る約束だそうです。

10月5日(水) 天候 快晴後晴れ

6時起床。約束の7時、待てどポーターは着ません。
ファンさんは高山病にかかり、本日、 トウさんと理唐に降りるとの事、そう、ここの標高は4,300mです。
山に持って行かない物はトウさんの車に移しましょう。大型ザックはヤクの匂いが着くのでビニールで覆います。
そんな仕事をしていてもポーターは一向に現れません。

やくの匂い防止袋
名も無き鋭峰

8時、工班は仕事の時間です。工班に中に夕べ入れ込んだのでしょう、ダンプ等のエンジンがかかり、順次仕事場に出て行きます。
9時、やっと、ポーターが着ました。ヤクは11頭、馬4頭、馬役3名の布陣で登場しました。
9時45分、いよいよキャラバン開始です。ファンさん、トウさんとはしばしお別れです。
青木隊長だけは馬に乗り、全員徒歩となりますが、まぁ、歩きたくてうずうずしてましたからね。
谷は広く、草原はどこまでもも続き、はるか彼方には名も無き高峰あり・・・
ここは大陸、大陸の風、大陸の雲、大陸の青空・・・♪思えば遠くに来たもんだ・・・
と、まぁ、感慨深げになるわけでございます。
ひたすら歩きます。学生達は順番に遅れるが、しんがりは植松が行ないます。
要するに隊はばらばらになっていて最後を植松が見ている感じです。

池唐向こうに無名峰
やさしいチベット民

もう、峠も近いのでしょうが、橋本に元気がありません。
と、峠方向からチベット人ひとりが馬で降りてきます。どうやら我々のザックをよこせと。
無線で李慶さんに確認とると「我々がお願いしました・・・」二人のザックを彼にたくしました。
この民族は腰に刀を差しています。おおっ怖っ!
もう、夕刻時間ですが、峠近くでみんなは待っていてくれました。
さて、峠です。標高は5,050mです。僕の最高点記録、モンブランを越えました。
ちょっと、感慨無量ですね。

5,050m峠を越える
峠を越えると、そこに目的の湖

峠を越えると、目的の湖が早くも現れ、感動感動チョー感動!以外に早く探査地域に入れました。
が、橋本は遅れます。途中、ゲロ吐きますが、何も出ません。ゆっくり行きましょうよはしもっちゃん。
もう、夕暮れ時です。BCの位置が決まったのでしょう。下方ではみんなが働いてるのが、薄ぼんやり見えます。
真っ暗になる頃、BCを設営終わる頃、我々も到着しました 。僕は早速井口さんと乾杯!
学生達は疲れたのでしょう。飯も食わず4人とも寝てしまいました。
と、井口さん、いきなり「寝ては駄目だ!」と井口さんには珍しく叫びます。
「うえまっさん!みな、起こして、深呼吸させんとまずいよ!」数々の遠征、高度経験者の井口さんが言うのだから。
「高木!起きろ!みんな起こせ!早くしろ!」こんなんで全員をおこし、まずはパルスオキシメータで
全員の血中酸素を計り(全員が数値70代、通常は90代、60代は危険値、ちなみにファンさんは60代でした)
深呼吸を大変させ、かつ、水分沢山とらせてから寝かせました。
(寝てしまうと呼吸が小さくなり、翌朝から動けなくなるそうです。水分は新陳代謝、つまり、血中酸素がすくなくなる、血がドロドロになるので小便を沢山させる事)だそうです。
チベット族は焚き火の周りでねます。たくましいです。
結構、つーか寒いです。
俺と井口さんは、相変わらず酒をおいしくいただき、これで植松の実証 、4,600mでも酒はおいしく飲めるんです。

10月6日(木) 天候 晴れ後曇り

昨日は標高4,300m~5,050mの峠を越え4,600mにBCを設営した。
行動時間は9時間、歩いた距離はおよそ14km。
学生達の疲れもあり今朝はゆっくりとなる。
しかし、我々が雇ったチベット人は早速帰ると言う、理由はこうだ。
峠よりこちら側は、また文化の違う民族であり、ヤクが草を食んでいるだけでも大事になると言う。
そして、我々は刀しかない、こちらの民族はライフルを所有していると言う。
だから、今すぐここを立ち去る、迎えには二日後の夜か翌朝早く来る。
我々は峠の向こう側にて待機している。だそうです・・・
そして、李慶さん、BCに<五星紅旗>を掲げます。
そう、まさに漢民族のLiaison officer、連絡官がここにいるぞ!
我々は、まさに凄い所に来ていると、つくづく思う、場面であった!

李慶さんと五星紅旗

さて、本日は湖の探査とする。
U字谷に降りて、さらに奥に行き、他の谷の湖まで探査と青木隊長より指示が出る。
橋本は体調不良にてBC待機、と、李慶さんも行かないとの事?
えっ?ライフル持ったチベット人に会ったらどうするの?
の俺の問いに「あなたが戦いなさいハハハ・・・紙に外国人と書いて見せてください・・・」
えっ???大丈夫???「たぶん、たいちょうぶあるね・・・」
青木隊長「植松オーダーで・・・しゅったつ!」俺が先頭け?まじっすか!!!

世界初公開ツォナホォツォ

まぁ、ここまでくりゃね。で、道無き道をじょじょに高度を落としていく。
振り返れば、あれ?俺の後をかなり離れてみんなはいる。「いぐちさーん!双眼鏡貸して!」
収穫時期は終わっているとは言え、なんか不気味なんですよね。この静けさ。
それに湖の湖畔には物凄い数のタルチョ(旗)が掲げられている。
我々はまだ構えているけど、奴等はいきなりオレンジのカッパ着たような奴等現れれば・・・
まぁ、そんとき考えりゃいいら的開き直り的となる。
途中、土から湧き出ている水に会う。やっと真水が飲める。物凄くおいしいのである。
後にも先にも、真水を飲めたのはここだけだった。
やがて、U字谷に降りた。人の気配はないがいたる所にタルチョがあり、よく見ると細かく経文が書いてある。
U字谷の奥に進みたいが、ある意味、この大きな湖が探査目的だったので、
深追い禁物です。隊長判断にて湖畔探査後BC戻る指示がでました。
湖畔に行き、一応河口まで見に行きました。
さて、湖畔で日本のラーメン作りましょう。やっぱ、日本のラーメンはおいしいです。
湖の標高は4,300mです。高木は相変わらず頭痛を訴え続け、たまに面白い行動に出ます。

U字谷底に降りました
きれいでしょ!

のんびりと、BCに戻りました。橋本は元気になっていて、李慶さんと裏山5,151m(地図に標高記載あり)
に上がったそうです。なんかちゃっかりしとるじゃん。
そして、そう、今日は李慶さんの誕生日でもあります。
だから、橋本と登った山は<李慶さんバースデイピーク>とみんな名づけました。
さて、今日は時間もあるし、みんな元気という事で名コック'ガオイ'が腕をふるうそうです。
楽しみですね。

左・名コック&運転手ガオイ
ガオイの料理

かぼちゃ・豚汁・圧力釜での白いご飯。今まで食べた中では最高でした。
はうはう、はうつー!べりーはうつー!
酒はもちこんだ物は全部飲んじゃったので、李慶さん達が作ったクコの実の白酒漬けをいただきます。
これが、また行けますねー。ねぇ、井口さん。

チベット化した奴とキョンシー化した奴
昨晩は雪

10月7日(金) 天候 雪後曇りの後吹雪後曇り

朝起きると雪である。テントの雪降ろしから仕事である。
テントを出ると辺り一面銀世界である。また違う世界を演出してくれる。
さて、今日は登山である。チベット民族がいないおかげで正々堂々と山頂を踏める?
今日は7名全員だ。植松トップ、真ん中に井口、しんがりは青木隊長のオーダーです。
雪の着いた岩稜帯をゆっくりと上がる、高度を上げて行くと・・・


山頂目指します
U字谷の向こうに5,000m級の
更に向こうにジャイアンツ登場!

天気は悪いのですが、もうひとつの探査である、6,000m級の未踏峰が見えてきました。
凄いです!アイスキャップいただいて、ヒマラヤ襞も見えます。
緯度的に低いので(30度)5,500m越えると完全に万年雪となっていますね。
下方、目を移せば新雪いただいた山がエメラルド色した湖に写りなんともいえない演出です。
湖畔のタルチョも見えるでしょ。

逆さ無名峰

さらにゆっくり上がって行けば右奥にも凄いのが見えてきました。
あいや~感無量です。あまり天気はよくないのですが・・・
いいや、見えるだけでもいいじゃないですか!充分ですよね。
今回の探査の絵はみなさん充分撮れたのでしょう。
しばらくそこからだれも動こうとはしません。
青木さん、ありがとう!と思わず言ってしまい、不覚にも、込み上げ瞼が濡れてしまいました。
凄い景色です。世界初公開です。感無量です。

これも世界初公開・しっかりとアイスキャップ!

右奥に更に高い?が雲が抜けず・・・

右奥が<相丘切克・シャンチォチェケォ・6,100m>でしょう。
他の山もでかいし、みな立ってるし、でも名前はありません。
とにかく、ありがとう、ですね。
そして、登山を続け12:30・5,160m山頂につきました。
順次握手します。山はたいした事ないのですが、一応ピークを踏みました。

5,160m無名峰登頂!
登頂後の翌朝・北西側の峰々

真っ黒な雲がいきなり現れ、吹雪となり、急ぎ下山とします。
下山は峠側を行き、15:30にはBCに戻りました。
さて、今宵もガオイのおいしい料理です。
「青木さん、ところで、奴等(チベット人)は約束守りますかねー、しかもこの雪ですよ・・・」
「金もらうまでは来るよ・・・」とは言いつつも心配顔ですね。
うんなん話ながら飲んでると・・・遠くヤクの鈴の音が聞こえ・・・
薄暗い頃、約束守り、彼等は笑顔でやってきたのであった。
ここもみな、感動の場面であった。

10月8日(土) 天候 晴れ後雹後曇り後雨

今日は下山である。朝もやの中、下山準備をする。
すると朝もやが抜けていき・・・

翌朝の対岸!

最後の最後まで演出してくれるのである。
なごりおしいですがBCを後にして、5,050mの峠に登り返します。

なごり惜しい峠5,050m

峠に着きました。今回の旅では、もうこれ以上高い所には上がりません。
峠にケルンを積みます。李慶さんはケルンを時計周りに3回回れば幸せになれると言うので
高木と俺はやりました。と、李慶さんと青木さんが何かを発見したのでしょう。
俺が呼ばれ、行って見ると、そこには古い石器で何かの文字が描かれています。
おそらく梵語で、昔、この峠で公益が有ったのではないか?・・・
峠を後にして、来た道、長く長く果てしなく長く歩きます。
そして昼食。チベット茶をよばれました。

帰りの昼食でチベット茶をよばれました
また違う無名峰登場!

と、突然、パチンコ玉みたいな雹に襲われます。よく跳ねます。
長く長く歩いていくと、やっと、川蔵公路が見えてきました。

川蔵公路と無名峰

この公路の向こうの独立峰は、おそらく地図上5,979mと思われます。
公路に着いた時、地元民に名前を聞いても、高い山!凄い山!としか言いません。
まぁ、そんなもんですよね。

帰ってくるとッチベット族が仰山集まってきました
これがごうつく村長!

ファンさん、トウさんも元気よく迎えてくれました。
ああっ、これで山は終わりなのか・・・ちょっと複雑な気持ちになった場面でもあったのかなぁ。
さて、李慶さん達はチベット族に賃金の支払いです。
これがまた、出かける時の交渉と、帰って来た時の請求がべらぼうに違い、
ガオイと村長の喧嘩はマジで凄く、結局はチベット族の請求に応じなければならないと李慶さん。
相当悔しそうでした。が、次は無いぞ!捨て台詞も残しました。
(次もまた旅人を連れて来るからとにかく最初の交渉金でのお願い)
村長はごうつくじじぃでした。が、そこは村長なのですよね。
ちなみにいくらか?文に残すのはやめましょう。ビックラコクデッ!!!
時間も遅いので、今日もここ工班に泊まるのかなぁと思っていたら、なんと!理唐に行くといいます。
まぁ、文明の世界に戻る、またまた複雑な気持ちですね。
最後に、工班の管理者にあいさつします。
この人、とても気持ちのいい人でガッチリ握手!日本人と知りつつも、
まぁ、李慶さんの顔もあるのでしょう、泊めていただいた料金は一切取らなかったそうです。
ありがたい事でした。トウさんの車に乗り込み、みんなお別れの挨拶いたし、
村長はごうつくだろうけど、3人の馬役や子供達の笑顔、
それに工班の漢民族の笑顔には感謝です。
やがて、車は理唐向かいました。
もう二度と来る事はないのだろう・・・
夜遅く、雨の理唐に着きました。

Next See You Again!!! いよいよ四姑娘山へ!
 
植松一好

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